最近の耐震工事 費用の傾向
家というのは、自分や家族が暮らしを営むための器である。
ありていに言えば、暮らしのための道具である。
道具であれば、目的や使い勝手を最優先させるのが普通だが、人生最大と言われる買い物のわりには、このへんが、どうにもあやふやな人が多い。
それは思うに、「買うのと借りるのと、どちらがトクか」という、損得勘定がすぎるせいではないだろうか。
「借りるより買った方がトクだし、いまは貰い時だと思ったから」という理由でマイホームを手に入れる。
そして肝心の物件については、「まあ、価格的にも手頃だし…」とおっしゃる人が少なくない。
なぜ、借りるより買った方がトクなのか。
なぜ、いまが買い時なのか。
手頃な値段とは何なのか、などなど疑問は次々と浮かんでくる。
「いったい、この人は何のためにマイホームを買ったのだろう」と思ってしまう。
家は買い時だから買うものではない。
賃貸では満足できない、マイホームでなければ実現できないなにがしかの夢や目的があって、それを現実のものとしたいと強く望み、また資金的にそれが可能なタイミングで考えるべきものではないだろうか。
金利が安い、物作価格が安い、税金でトクをする、市場環境がいいから「いま買わないと損をする」などと考え、購入に走るのは、本末転倒というしかない。
住宅は金利や価格や税制で買うべきものではない。
ましてや「いまはマンションブームだから」とか「みんなが買っているから」などと、世間の顔色をうかがって買うようなものではない。
家は、自分の望む暮らしを実現するための道はハである。
必要のない道具を買う人はいない。
本当であれば、その人にとって必要なときこそがその人の買い時である。
多少値段が高かろうが、金利が高かろうが、税制上の優遇措置がなかろうが、必要であればほしいし、買いたいと願うのが当然である。
資金事情も人それぞれ違う。
したがって、その人にとって貰い時というのはあっても、万人のための買い時というのはないのである。
また高い買い物である以上、「なるべくいい条件で貰いたい」と購入のタイミングをはかるのは当たり前のことだが、それが先に立ちすぎると家を損得勘定で考えるようになって、本来の目的である「自分の望む暮らしを実現するための器である」という肝心要の点が、どこかに抜け落ちてしまう。
「自分のものにならないものに、毎月家賃を払い続けるなんてバカげている。
お金をドブに捨てるようなものだ。
家は買った方がいいに決まっている。
資産になるし、老後の住まいの心配もない。
世間の信用だってぜんぜん違う」-。
戦後の経済成長を担った六〇代から上の世代には、そのような意識が色濃く残っている。
無理もない。
バブル経済が弾けるまでは、まさにそのような価値観で生きることこそが、人生に勝利することであったのだから。
しかしバブルが弾け、数々の戦後口本の神話が崩れるなか、「家さえ手に入れれば幸福になれる」というマイホームの神話もまた過去のものとなった。
地価の大暴落で「家=資産」の図式は崩壊し、マンションを転売して、上がりは戸建ての持ち家へという住宅双六も成立しなくなった。
家は資産ではなくなったのである。
銀行から借金をして、上地を貰って出店する。
その土地を担保にまた銀行から金を借りて土地を買い机店する-。
これを延々と繰り返した挙げ句、巨額の債務を抱え、瀕死の状態でのた打ち回っているのが、のD社である。
D社の経営手法は、ある意味で戦後の日本経済を象徴している。
それは、「地価は永遠に上がり続ける」「土地は有力な資産である」という、何とも愚かな共同幻想の上に築き上げられた、まさに砂の楼閣であった。
存亡の危機にあえぐ金融機関とゼネコンの、巨額の不良債権債務の問題は、地価上昇を前提とした、この共同幻想にこそ、その核心がある。
六〇代以上の親を持つ人は、「家を買えば幸せになれる」「家の一軒くらい持つのが、男の甲斐性」などというステレオタイプな親御さんの意見を聞くことがあるかもしれない。
たしかに彼らの成功体験は間違いのない事実だが、それは過ぎ去った過去の話である。
これからの時代には適用しない。
盲金は一〇〇〇万円なければ家を買うのはやめなさい」誤解のないように言うが、何も「家を買うな」などと言っているのではない。
「買った方が絶対にトクだなどとは、もはや言えない時代になった」そのことが言いたいのである。
そのうえでマイホーム購入のメリット、デメリットをきちんと自分で勉強し、ほしいと思って資金的余裕があれば、買えばいいし、「やっぱり賃貸でいいや」という人は、無理して買うことはない。
何より貰うなら、最低でも頭金は一〇〇〇万円以上ないと話にならない。
「頭金五%OK!」とか、なかには「頭金ゼロでも買える!」などとうたっている広告を目にすることがあるがこのような物件にまともなものはまずないと考えた方がいい。
売ってしまえば、後のことは知ったことではない、と考えているとしか理解できない。
頭金が少なければ少ないほど、ローン負担はきつくなる。
まともな商売をやる会社であれば、購入者の返済負担を考えたとき、そんな無責任な売り方などできるはずがないからだ。
購入金額のほとんどを借金でまかなうなんて、このデフレ時代に自殺行為である。
幸いというべきか、二〇〇二年四月から、住宅金融公庫がいままでの〝頭金なし″の無謀な貸し出しから、年収八〇〇万円以下で購入価格の八割まで、年収八〇〇万円超なら五割までと条件を厳しくした。
しかし、公庫にこんな条件をつけられなくても、頭金二割は最低必要だろう。
だが、私なら頭金は三割以上、できれば四割が最低ラインとみる。
しかも預貯金を全部はたくのではなく、最低でも年収分は別途確保したうえでである。
それくらい頭金がなければ、絶対に家を買うのはやめなさい、である。
いままでのような年功序列、終身雇用が崩壊し、いつリストラで年収がストップするかもしれない。
しかも退職金もアテにできない。
こんな時代にいくら金利が安いからと言って、長期にわたる借金に耐えられるかどうかが問題だ。
政府はマイホームを手に入れやすくするために、かつての二〇年、二五年ローンから、一〇年延長して三〇年、三五年ローンに切り替えた。
毎月の支払額は少なくなるかもしれないが、より長年にわたって払い続けることになった。
三〇歳でローンを組んでも六五歳でやっと払い終わるとは、一生かかっての借金返済ではないか。
借金はとにかく抱えないのが一番。
それでも借金をするなら、できるだけ少なく、できるだけ短く、できるだけ金利を安くするのがコツだ。
幸いいまは超低金利で、金利面では以前より有利なことは確かだが、金利はどんなに低くても支払いには違いない。
だから「トク」などとは絶対に言えないのだ。
現在、住宅ローンを組むとき、ほとんどの人の借り入れ先である住宅金融公庫が五年以内に廃止と決まっているが、それと並行して民間の銀行などの金融機関が、住宅ローンに積極的に乗り出している。
ただし、公庫と違って三〇年先までの固定金利を安くすることは難しく、たとえばM銀行の三〇年固定ローンなら年四・四五%とかなり高い。
なかには五年、一〇年までの固定金利で年二%台にしている銀行もあるが、二年後にはまた金利の見直しでは、返済金額の予定が立たなくなってしまう。
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